大口町伝統芸能の保存

河北木遣こぎたきやり保存会

代表 宮田 和美 さん


 平成4年に建立された河北神明社の築上祝いにおいて、河北地区の住民の集まり「河北交友会」を母体として有志を募り、「木遣り」演舞を披露した。
 その後、先の会長の仙田武紀さんが「河北木遣保存会」を立ち上げたことがはじまり。
 平成17年の愛知万博では、「大口町の日」のイベントで演舞を披露した。
 現在、会員数は女性2名を含む26名で活動している。

「木遣り」とは

 木遣りは元来が作業唄で、重い岩や大木などの運搬に多くの人の力が必要とされた機械のない時代に、その力を一つにまとめるための掛け声、合図として唄われたもの。
 現代では、作業唄から離れて儀式化し、また一部俗謡化するなど、聴かせるための唄へと変化していった。このように木遣り唄は、もとは労働唄だったが、「のど」のよい人たちが酒宴などで披露するようになり、次第に祝唄としての性格を持つようになっていった。

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河北木遣保存会の活動

 平成14年、町政40周年の時から町内での発表を始めた。
 春の金助桜まつりでの伝統芸能発表会をはじめ、秋の小口城跡公園での伝統芸能発表会、大口北小学校での「ふるさと大口・お祭りたいけん広場」などで活動を行っている。
 過去には、稲沢市国府宮はだか祭大口奉賛会大鏡餅奉納の先導や、大口中学校校舎新築完成式典、松江市堀尾吉晴公銅像完成記念式典、松江市合併10周年記念など、多くの祭礼で披露している。
 日頃の練習あってこその、息の合った演舞。演舞披露の1カ月前から、毎週土曜日の夜、河北学供で練習をしている。練習後は、メンバーとの絆を深めるコミュニケーションの場を設け、それが楽しみであり励みにもなっている。

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伝統文化を守る

 大口町では江戸時代より、各地区で五穀豊穣を願い、お囃子や木遣りが華を添えるお祭りを行ってきたが、明治初年ごろからとだえる地域が出はじめ、ほとんどの地域でお囃子や木遣りは行われなくなってしまった。
 その後、昭和53年に豊田獅子囃子保存会が発足したことをきっかけに、河北木遣保存会、上小口伝統芸能保存会、中小口伝統芸能保存会など、各地区の団体も継承に取り組んでいる。
 古くから口伝えで伝わる貴重な技術や伝統を、絶やすことのないよう受け継ぎ、普及に努めている。

伝統芸能で地域の結束力を高めたい!!

 毎年秋に、大口北小学校で「ふるさと大口・お祭りたいけん広場」という催しがあり、獅子屋形や木遣りのご神木、楽器などを持ち込み、子どもたちに伝統芸能芸を披露したり、体験をしてもらったりしている。
 後継者不足が慢性的な問題ではあるが、最近では比較的若い世代の方や、女性の参加もある。
 練習の成果を披露できた時の達成感を共有したり、世代や立場に関係なくコミュニケーションをとれることで、地域の横の繋がりがひろがることも伝統芸能の役割であると思う。
 これからも、「木遣り」という伝統を絶やさぬよう活動をしていく。