
ものづくりの技術×いちご栽培
おおぐちSAKURA農園
農園長 松浦 康浩さん(左)
野口 国俊さん(右)
株式会社東海理化が手掛けるいちご農園「おおぐちSAKURA農園」(竹田二丁目60番地)。耕作放棄地の活用と障がい者の活躍の場の拡大等、社会貢献を目的に2022年11月から開園し、社員3名と障がいのある従業員5名で農園を運営している。
目標収穫量は7トン。ハウスで栽培されるいちごは11月から5月の間、のぼり旗が立っている日に購入可能。また、町内外のイベントで出店し、いちごをふんだんに使用した和洋菓子の販売も行っている。
自慢のいちご
おおぐちSAKURA農園のいちごは「よつぼし」という品種で『ゆめとりか』と名付けられている。「よつぼし」は甘味・酸味・風味・美味が揃っている品種で通常糖度は11度ほどだが、『ゆめとりか』の糖度は13度。リピーターの方も多く、甘くておいしい自慢のいちごだ。
いちごは必要な栄養素を溶かした水に根を浸す「水耕栽培」で育てている。自動車部品メーカーである東海理化が培ってきた技術を活かし、ハウス内の温度や湿度はICT制御となっており、高い糖度の秘訣である水の制御も全自動で行われる。一方で苗の定植や手入れ、実の収穫は人の手で丁寧に行っている。
明るくキレイで働きやすい現場
川のせせらぎのような心地よい水の音が響き、受粉のため飼育されているミツバチが時折姿を見せるハウス内は、東海理化の自社工場の規格をもとにした設計だ。作業者の負担軽減と安全確保のため、2段の栽培棚は作業しやすい高さに設定し、棚と棚の間の通路も広い。栽培棚自体も工場の生産ラインの技術が活かされており、いちごの手入れや収穫時には滑らかに動く作業台となる専用のスライダーの設置が可能となっている。
また、農園はこの穏やかな職場環境を活かし、休職者のリワーク支援の場ともなっている。そこで働く人を第一に考えられた空間では、だれもがのびのびと働くことができる。
大口町とのかかわり
4月のれんげ祭りや9月のやろ舞い大祭等町内のイベントにも農園は出店している。そこで販売される商品は、いちごの生クリーム大福アイスや葛アイス、甘酸っぱいいちごのジャムが入ったガレットブルトンヌやまるごとのいちごが入ったクレープなどの洋菓子、季節限定の削りいちごやいちご大福など多彩だ。
活躍はイベントだけにとどまらない。2025年2月には大口町内の保育園の給食に農園のいちごが出された。朝収穫され、保育園に届けられた鮮度抜群、粒のしっかりしたぴかぴかのいちごは、地産地消ならではのメニューとして、園児たちは大事そうに食べていた。
試行錯誤しつつ前進を
松浦さん、野口さんのお二人とも、農業の経験はなかったが今までとは違う仕事をしたいという思いから、農園への配属を希望したとのこと。試行錯誤することも多い中、2025年は酷暑への対策として、苗の定植の時期をずらしてみることを検討中。より甘くおいしいいちごを多くのお客様に届けられるよう常に努力を続けている。
年々イベントへの出店回数は増え、現在はいちごを使った新しい商品の企画も進んでいる。愛知県内にある東海理化の別の工場の近隣にもいちご農園を設立してほしいという声が東海理化社内から上がっている。今後さらなる展開をしていくためにも、まずは目標収穫量の達成を目指す。